岸本裕紀子さんインタビュー

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あなたは今、どこにいますか?

 

 

金持ちな人もいれば、貧乏な人もいる

 

ニートもいれば、ホリエモンもいる

 

二極化する現代社会

 

その狭間で若者たちが作り出した居場所

 

 

半径1m

 

 

そこで生まれる価値観とは……?

 

 

 

元non-no編集者、岸本裕紀子さんが本誌を通じ

 

私たち若者に送るメッセージ

 

 

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『なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?』

 

岸本裕紀子著  講談社 α文庫

 

 

 

 

 

 

 

――私たちは編集の仕事を目指しています。岸本裕紀子さんは雑誌non・no編集者でしたが、著者という立場に変わって、本作りに対する姿勢も変化しましたか?

 

 

岸本 そうですね……編集者時代の悩んだこと、たとえば締め切りを守らない著者は困るとか、そういう自分が悩んだことを逆にしないように気をつけていますね。ほかには、雑誌の編集では、決められたページに伝えたいことをわかりやすく書かなければならないので、(その経験を生かして)自分で本を書く時にも何が言いたいのかをクリアに書くように心がけています。

 

 

――『なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?』執筆のきっかけを教えてください。

 

 

岸本 執筆活動のかたわら、週に一回ある大学で教えているのですが、学生さんたちと接しているうちに、みんな真面目で一所懸命でいい子たちだけれど、どこか生意気さというかつっかかりというか、先生に反抗したり意見を述べたりということがないな、と思ったんです。それはどうしてなんだろう、と。

私たちが考える若者の価値観っていうのは、独立心があって、型にはまっていなくて、自分の力でなんでもできるぞというイメージなんですけど、もしかしたら今の若い人たちはそんなこと考えてないんじゃないかなって。私たちが考えているものとは少し違う価値観を持っていて、その価値観での社会を作っているのではないかという疑問ですね。

本にも書きましたが、今ニートとかフリーターとかが脚光を浴びるというか、騒がれていますよね。でもその一方でホリエモンみたいにリスクを冒して起業した人も時代の寵児として注目をされている。じゃあこの二極に挟まれている普通の人たちは何を考えているのだろう。どういう価値観を持っているのだろう。そのあたりを解明してみたいなということがきっかけですね。

 

 

――この本をお書きになる際、どのような取材をして材料を仕入れたのでしょう。

 

 

岸本 大学の学生との日常会話がほとんどですね。一緒にお茶した時とか講義の合間の雑談とか。あとは高校の教師をされている方に今の若い人はこうなんだよとか教えてもらったりもしましたね。

 

 

――本に書かれている「おばあちゃんの好きなものが好き」や「ちょこっと和」など本当に身近なこと、見逃してしまいそうなことからどのようにして若者の価値観を見出していかれたのですか?

 

 

岸本 たとえば抹茶ラテ。学生たちとお茶しに行った時にみんな飲んでいて何?って思ったのだけれど、みんな頼んでいるから流行っているのかなって。そういえば今の若い人たちってお祭りとか縁日とか好きですね。ほら、浴衣着て自分の地元とかそのお祭りとか、花火大会とかに行くでしょう? だから、みんな日本に惹かれているのかなと思ったんですね。そしてそれはなぜなんだろうと考えた訳です。

今の日本はアメリカ的競争社会に近づきつつありますよね。私はニューヨークに少し住んだことがあるのですが、アメリカって「強い」とか「美しい」とか「金持ちが偉い」みたいな、すごくわかりやすい価値観の国なんですよね。これはアメリカがさまざまな人種を抱える移民の国だから、わかりやすい価値観が必要になったという背景があるわけですが……。

人を蹴落としてでもいいから這い上がってやる。そういう価値観の社会ってやっぱり疲れますよね。ストレスも増えますし。だから日本もそうなってきた中で、若い人たちは安心できるものを求めているのかなと思うんです。強くなくても、温かく洗練されたものを若い人たちは求めていて、それが「和」だったのではないかしら。

 

 

――今と昔の環境における大きな変化に携帯やインターネットの存在が挙げられると思いますが、携帯やインターネットがなかった時代に日本が今のようなアメリカ的競争社会になっていたとしたら、どうだったと思われますか。やはり今のように若者の価値観と社会との差が生まれていたのでしょうか。

 

 

岸本 ああ……考えたことなかったですね(笑)。昔の方がアメリカ的だったかなと思います。あくまで私個人の意見ですが、私たちの世代で偉いというかカッコいいと思われていたことって、たとえばテニスラケットを持ってキャンパスを歩くとか、冬休みはスキーに行ってユーミンの歌を聞くとか……(笑)、そういう単純なことだったんですね。だから価値観はかなりアメリカ的だったと思います。アメリカ的なものに案外パッと飛びついていたような気がします。

でもそう考えると今の若い人たちはアメリカの価値観に惑わされないで自分たちの価値観をしっかり守っているように思われますね。

 

 

――ブログやインターネットの掲示板など、匿名で本音を曝け出せる場が増えると同時に、現実社会でのコミュニケーションがうまくとれない若い人たちも増えてきているように思うのですが、そういった人たちについてどう思われますか?

 

 

岸本 そうですね。普段おとなしい人がブログや掲示板で痛烈に何かを批判したり過激なことを言ってみたり、仮想世界に身を置く人たちの人格の分裂がよく見られますよね。昔もある程度はあったと思うんですよ。でも職場では弱いけれど家では強くなるとか、常識の範囲内というか許容範囲だったので、今よりは人格の統一ができていたように思います。

今は仮想世界があるから公の場で自分のレベルを上げる努力をしなくなっているのかなという気がしますね。思い通りにならないことへの対処をあまりしていないように思います。

 

 

 

 

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 思うように

世界は

変えられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――今後お書きになりたい題材、テーマなどお聞かせください。

 

 

岸本 まだ大統領になるかわかりませんけど、ヒラリーについてまた書いてみたいと思っています。それと日本人の中流価値観。

アメリカでは、たとえば国が傾いたとき、金持ちはさっさと他の国に逃げたり、貧しい人は税金を払わなかったり……と大げさに言えば二極化していて、国を支えていた約束事が守られなくなってきているように思うんです。一種の愛国心の薄れなのかもしれません。

国が傾いたら自分の力で立て直すとか税金を払うとか、当たり前の約束事が守られなくなったら……国は崩れますよね。

日本は一億総中流とか言われていますが、今後ますますアメリカ的競争社会になっていったらアメリカと同じようになってしまうんじゃないでしょうか。そのときの日本人の価値観はどうなるのかというようなことを書いていきたいと思っています。

あと、女友達について。これは以前メールマガジンで配信していたものなんですが、一冊の本にまとめようということで、これはもう年明けに出ますね。

 

 

――最後に、これから競争社会に飛び込んでいく私たち若者にメッセージをお願いします!!

 

 

岸本 そうですね……100%赤い糸で結ばれているものなどないんですね。たとえば中田がサッカー選手をやっていたような運命というか、そういうものに出会える人って本当にわずかだと思うんです。

でもこれかな?と思ったものをとりあえずやり続けていくとカタチになってくる。時間が育ててくれると思うんです。本当に今の時代は私たちの時代よりずっと大変だと思います。でも思うように世界は変えられますから。うん、それは絶対そうだと思います。だから、ね、みんながんばってください……すみません、なんか偉そうに(照れ笑)。

 

 

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 岸本裕紀子

エッセイスト、政治コラムニスト。
1953
年東京生まれ。
慶応義塾大学法学部卒業後、女性誌編集部勤務を経て渡米。
NY
大学行政大学院修士課程修了。

著書に、
『モテる女たち』『もっと、モテる女たち』(ともに講談社文庫)

『ヒラリーとライス アメリカを動かす女たちの素顔』(PHP文庫)

『なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?』

などがある。

 

 

 

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