となりの本棚 第1回 重松清『卒業』
人の本棚にある本はおもしろい、はず!
本棚の中身から持ち主の趣味・嗜好を探り、おすすめの1冊をあなたにも紹介していきます。
初回となる今回は、このウエブマガジンの編集長・Y子の本棚です!
第1回 田畑ゼミウェブマガジン編集長 Y子
まず目に入るのは、インテリア雑誌とファッション雑誌。
どちらも2、3種類ずつある。
本棚の主は、常に人に見られることを意識している、または、細かいこだわりのある人なのだろうか。
書籍は乙一と宮部みゆきが多く、ホラーやミステリー好きと感じさせる。
暗闇の中にも光ややさしさの見える両者の作品。
推理小説としてだけでなく、人の心に訴えかける力が強い。
人との関わりを大切にする人なのかもしれない。
ファッションやインテリアを含め、多くのことに興味を持っている人のようだ。
Y子のおすすめの1冊は、重松清の『卒業』。
「卒業」をキーワードに描かれた短編集。
思い出を含み、始まりを予感させるエンディングであること。
そんな作者の意図が全く異なる4篇にまとまりをもたせている。
最も印象深かったのは、ともに教師である親子の繫がりを描いた「あおげば尊し」。
がんに侵され、死の淵にいる主人公の父と、人の死に興味のある少年・康弘。
教師という仕事を通じて人生を全うした父の最後の授業は、自らの「死」を通じて「生」を教えることだった。
主人公が息子として父を思う気持ちと、同じ仕事の先輩として父を尊敬する気持ちが重なり合い、強い絆を感じさせる。
どの作品にも共通して描かれる、「死」という岐路。
この本を通じて、「生きる」ということについて考えてみてはいかがだろうか。